「居抜き物件」とは、シャンプー台セット面、エアコン、換気扇などの空調の設備、什器などがそのまま残されている物件のことです。初期費用を安く独立開業したい人におすすめの物件ですが、注意点もあります。内装や設備などがない状態のスケルトン物件との違いを費用や契約時の注意点についてをご紹介します。
居抜き物件とは?スケルトン物件との違い
一概に「居抜き」と言っても、どんなものがどんな状態でどのぐらい残っているのかによってそのレベルはまったく違います。ここではその基準を明確にしておきたいと思います。 いわゆる「居抜き」と呼ばれる物件とは、以前、美容室として使われていた物件が閉店してしまったことで、電気設備や内装がそのまま売買や賃貸に出される物件のことです。
廃業されるオーナー側としては、多大な費用をかけて内装を作ったにもったいない。できれば次の美容師さんに使っていただきたい、と考えます。それが有料で叶うなら。
そして造作譲渡といわれる費用を決めて不動産屋さんに次の方を探して貰うのです。
原則、スケルトン返し(内装や水回りを全部撤去)の物件が多いですので、誰かに造作譲渡で買い取ってもらわなければ解体撤去工事を退出するオーナーがが負担しなければならないという事情もあります。解体費もばかになりません。 ですから、職種が同じ同業種の間で売買が成り立つことが非常に多いのです。
大阪市内など美容院が乱立する土地柄や、景気が悪くなると廃業する美容室も増加する一方で、居抜きの物件が多く出回り、安い賃料で入居できるようになります。 お店のグレードによりますが、今は賃料だけでなく内装の施工費下がりつつあります。ですから、少ない資金で開業したい方にとって不況はチャンスなのです。
居抜き物件のメリット・デメリット
例えば、10坪の美容室が10年営業して閉店するとします。 同業である美容室が借りるのであればそのまま使えるものが多いですね。 しかし造作譲渡が例えば500万円だとそれだけの価値があるのか考えなければなりません。 美容院のシャンプー台や空調は、10年が目安で故障が増えます。 その時は使えていてもいつ壊れるかわかりません。 しかも閉店するお店は、閉店する理由があるのです。 儲かっていたらやめませんから、儲からないからやめる方が大半です。
または、お店の雰囲気がイマイチだった場合、思ったよりも集客効果が得られなかった可能性が結構高いのです。もちろん立地の問題もあります。
一見使えそうなデザイン(内外装)だったとしても、近隣のお客様の目もありますので、前の負の遺産を引きずらないようにするには、ある程度のリニューアルは必要です。 予算200万円かけてリニューアルすると全部で700万かかります。 700万円あればスケルトンからでもそこそこの美容室は作れる場合もあります。
メリット
• 残っている設備を使えるので初期投資を抑えられる。
• 工事の工程が少ないので早くオープンできる。
• もしかしたら以前の通っていたお客様も来店いただける。
デメリット
• 内装などを思い通りのデザインにしにくい。
• 設備などが古い場合、メンテナンスに時間と費用がかかる。
•前のイメージが悪いと引きずられる。
居抜き物件を契約するときの注意点
居抜き物件の契約での注意点は「造作譲渡」と「転貸契約」というものです。いずれの場合も、こういった契約について詳しく説明してくれる不動産業者と契約することをおすすめします。契約書を隅から隅まで読み、不動産業者から説明がなかった部分があれば必ず確認しましょう。
造作譲渡契約時の注意点
「造作譲渡」とは、前の美容室の所有者が次の契約者に既存の設備を買い取ってもらうことです。基本的には使用感や立地、耐久年数などの条件も加味されて値段が決まりますが、注意すべきは「前オーナーの言い値」で決められることが多のです。ですから、美容師さんなりにある程度の「相場」を調べておいてください。下記の注意点を契約時にチェックしてください。
• 売主の瑕疵(かし)担保責任の確認
瑕疵担保責任とは、売買契約の締結当時に目的物(土地や建物)にすでに欠陥や傷がある場合、売主が買主に対して修復や損害金の支払いなどの責任を負うことをいいます。
• 理美容器具や水回り配管の製造年・説明書や保証書の有無
• ドアや内装などの修復履歴
• 危険負担(購入後、引き渡しまでにトラブルがあった場合の過失責任)の確認
• リース品の有無(エアコンなどでリース品がある場合は、リース会社との契約を引き継ぐ場合があるので)
転貸契約の注意点
「転貸契約」とは、いわゆる又貸しです。前の借り主が、諸事情によりその物件を借りることができなくなったときに第三者へ又貸しすることです。たとえば契約期間の途中で解約する場合、多額の違約金が発生することが多いからです。
下記の注意点を契約時にチェックしてください。
• その物件は転貸契約が可能か
• 所有権は誰にあるのか
• 転貸後の責任の所在
まとめ
いかがでしたか?デメリットが目立ちましたが、 居抜き物件には初期投資を抑えられるなどメリットも多分にあります。美容師として独立開業されるからには内装や物件はできるだけ安く抑えたいですよね。しかしながら場合によっては思わぬトラブルにあう可能性もあります。そうならない為には事前に、よく専門家に見てもらってから物件のご契約をされることをオススメします。あなたの美容師人生が豊かなものになりますよう心から願っております。
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株式会社BRIDG DESIGN WORK’S
代表取締役 斉藤 章行
そのお店だけの”ウリ”をいち早く見つけて会社・商品・個人を売れ続けるブランドにする「突き抜けたブランドづくりの達人」株式会社BRIDGE DESIGN代表取締役社長。大阪のコンピュータ系専門学校で様々な技術を学んだ後「カジカジH」「FUDGE」「MYベストヘア」「InRed」など人気雑誌を数多く手掛ける美容専門広告代理店に入社。デザイナー・カメラマン・ライター経験を経て2015年BRIDGE DESIGNを設立。その経験を生かし現在は「突き抜けたブランドづくりの達人」として500社以上の広告制作・空間プロデュースに携わる。実績としてはスタイリスト年収1,000万計画、企業の問い合わせ件数300%アップ、たった3ヶ月で新規顧客2,000人プロジェクト達成や、新卒求人0人が毎年8名以上など、関わった全てのクライアントを圧倒的な成功に導いている。今現在も美容師の独立プロデュース・メーカー・ディーラー・サロンの広報顧問として多くの企業にとっての結果を追求し続けている。最近では、美容師の将来を見据えた「ゼロスタプロジェクト」を推進し、美容室直営店舗の運営にも力を入れています。現在、美容室4店舗、アイラッシュ2店舗を展開し、25歳の美容師が3ヶ月で月給60万円を達成するなど、将来に不安を抱える美容師たちに新たな希望を提供しています。美容業界に新たな価値をもたらすべく、日々取り組んでいます。